主催する学習塾SEGにおいて2002年より多読クラスを開講し、SSS(=Start with Simple Stories)英語多読の普及に尽力してきた著者による英語多読法の入門書。教室での多読指導をにしろ、個人での学習にしろ、これから英語多読を始めようという人にはこの本を一読されることをおすすめします。
以下、多読学習法のポイントをメモ。
まずは、多読をおこなううえでの基本ルール。SSS多読といえば、「(1)辞書は引かない、(2)わからないところは飛ばす、(3)つまらなければやめる」という、酒井邦秀さんが提唱した三原則があるのだけれど、SEGではこの三原則を
>>
(1) 辞書を引かずに楽しめるものを読む
(2) わかるところをつなげて読む
(3) 自分が面白いと思う本を選んで読む
<<
と肯定的な表現に変え、学習法のポイントを明確にしているという。
それから、英語多読で英語を身につけるにはどれくらいやればいいのかという点。SEGでは
>>
中1・2から始めた人は、好3までに300万語
中3・高1から始めた人は、高3までに200万語
高2から始めた人は、入試までに100万語
<<
という目標を掲げているそうで、1年で累計50万語分というのが目安((豊田高専の実践例から、30万語でも充分に効果は見こめるとか))。累計300万語という数字は、ゼロから始めた人((Penguin ReadersやOxford BookwormsといったGraded Readers(英語学習者用の段階別読みもの)では初心者向けのものでも基本200〜300語程度の知識は必要なので、少なくとも300語程度の語彙学習はしておく必要がある))が7〜9割の理解度の読書で基本語2000語((新聞記事の80%、会話の90%以上を理解できる語数(Paul Nation, "Teaching Vocabulary")。))が使いこなせるようになるのに要する読書量とのことです。ちなみに、基本語2000語がどのくらいのレベルかというと、YL(=読みやすさレベル:語彙や文法といった言語的な読みやすさ、見た目の読みやすさ、背景知識の必要性などから、SSS英語多読研究会で判定したもの)が4点台のもの(Penguin ReadersならLevel5、Oxford BookwormsならStage5。YL4.0~4.5程度ということで、センター試験の問題もこのレベルだとか)。